【快適使用温度?下限温度?】シュラフ(寝袋)の温度表記の罠に気を付けろ!!【EN13537って何?】

こんにちは

キャンプをする上で重要なアイテムのひとつにシュラフがあります。寝袋とかスリーピングバッグと呼ばれたりもしますね。

シュラフは、その素材や使用可能な温度で数多くの種類が販売されています。初心者の方はどんなものを選べばよいか悩みがちですが、今日はシュラフの温度表記ついて考えてみたいと思います。

数値の読み方を誤ると、命を危険にさらす可能性も…

良かったら、読んでいってください。

ナンガ シュラフ

*この記事は初出2017年1月28日の記事をリライトしたものになります

まずは導入部として、ある店舗での温度表記を…

ダウンシュラフメーカーとして有名なナンガの別注モデルです。性能の割りに割安なこの別注モデルは大人気で納期も数か月先になりがちです。

さて、このナンガ オーロラ600DXの温度表記を見てどう思いますか?

山渓ナンガ表記例

快適使用温度:-11℃
使用可能限界温度:-30℃

おっ!-11℃の環境でも快適に眠れるのか!!

そんな風に思ったりしましたか??

ちなみに栃木県奥日光の1,2月の最低気温は-8℃前後。北海道宗谷岬で-11.5℃、富良野で-29.4℃です。

と、いうことは…

この「ナンガ オーロラ600DX」があれば…

奥日光では快適に眠れて、北海道でもなんとか眠れるのか!?

そんな風に考えていると、大惨事に見舞われる可能性もあります!

シュラフの温度設定について、よく考えておきましょう!

シュラフの使用温度表示の疑問

皆さんは、どんな風に使用するシュラフを決めていますか?

ナンガ シュラフシーツ

パッケージやカタログを見ると様々な温度表示がされていると思います。

各メーカーが独自の方法で算出してしまっていては、メーカー間の比較ができないですよね。

過去、そのような時もありましたが、現在は統一された方法で算出されています。

それが、ヨーロピアン・ノーム、EN13537です。

ヨーロピアン・ノーム

ヨーロピアン・ノームとは

EN(ヨーロピアン・ノーム)とは、EU諸国における統一規格として制定されている規格の総称で、ヨーロピアン・スタンダードとも呼ばれます。スリーピングバックに関する温度表記についてはEN13537で算出が定義されています。今までは各メーカーが独自の方法で算出されていた使用温度を、同一基準で示しています。検査は認定された第三者機関が行う公平なもので、各メーカーの独自基準に基づく使用温度表示とは一線を画すものといえます。

引用元:ナンガ

ISOやJISみたいなものですね。

EN 13537の算出方法は…

これもナンガのHPからの引用となりますが

温度センサーが装備されたマネキンに長袖と足首までアンダーウエアを着せ、スリーピングバックに寝かせてキャンプ用のマットレスの上にのせます
マネキンの内側5箇所の温度が測定され、放熱の度合いを計測します。計測された温度と実験室の気温を計算式にあてはめて値を算出します。スリーピングバックの保温性能は単純な中綿の量だけでなく、布地の種類や厚み・ジッパー等にも影響を受けるため、テストではこれらを総合的に判断します。

引用元:ナンガ

下記HPにEN 13537のテスト方法についての記載があります(英語ですが…)
ブラウザの自動翻訳でもそれなりに意味はわかると思います。

PRIMA OUTDOOR, s.r.o. is the biggest producer of sleeping bags in Europe. We have many years' experience with the production of sleeping bags, we made hundreds ...

そして、そのテスト結果は3種類に分類されます。

ヨーロピアン・ノームの表記

ナンガでの表記を元に整理したいと思います。

COMFORT:快適使用温度

一般的な成人女性が寒さを感じることなく寝ることができる温度域とされています(快適使用温度)
(一般的に女性は男性よりも寒さを感じやすいので約5℃程度高く使用温度を算出しています)

LIMIT:下限温度

一般的な成人男性が寝袋の中で丸くなり、8時間寝られる温度域とされます(下限温度)。これよりも低い温度は、リスクのある温度域となります。

EXTREME:極限温度

一般的な女性がスリーピングバックの中でひざを抱えるくらい丸くなった状態で6時間までなら耐えられる温度域とされます。体は震えを起こすことで熱をつくりだそうとし、基礎代謝量が増えます。なお、この温度域で使用すると低体温症になる恐れがあり、非常に危険です。

表示温度はあくまで参考

表示温度はあくまで参考温度であり、経験、体力、体格によって個人差があります。
女性はComfortを参考に、男性はLimitを参考に選んでみてください。

と上述のナンガHPに書かれていますが、Limitの説明文を改めて読んでみると…

一般的な成人男性が寝袋の中で丸くなり、8時間寝られる温度域

と、あります。

丸くならないと眠れないんじゃ、ちょっと厳しいですよね…荷物をミニマムにする必要がある登山等ならしょうがないシチュエーションもあると思いますが…

快適指向のキャンプなら男性でも、COMFORTを参考に選択した方がいいのではないでしょうか?

各メーカーの対応状況

現在、各アウトドアメーカー(コールマン、スノーピーク、ナンガ、モンベルで確認)はEN 13537に基づいた表記をしている様です。

下記画像はコールマンの温度表記です。快適温度、使用下限温度とEN 13537に基づいた表記がされています。

コールマン温度表記

続いて、スノーピークの温度表記。快適、下限、極限とEN 13537に基づいた表記をしているのがわかると思います。

snowpeak温度表記

個人的にはモンベルの表記が一番親切に感じます。

モンベル温度表記

引用元:モンベル

各温度の表記は同じですが、「温度域」と言う言葉を使い、利用者がイメージしやすい様に書かれていると思います。

”LIMIT温度~EXTREME温度間”がしっかり危険域であると明記されているので…

イスカはEN 13537にさらに自らのフィールドテストを加味して、シュラフを選択できるようになっています(私にはちょっと選びにくいけど…)。

この様にメーカーの表記は統一されてきましたが…

販売店での表記はゆらぎがある様で…

ナンガオーロラ600dxのナンガ公式と販売ショップ(山渓)での表記の違い

ナンガ公式の場合(オーロラライト600DX)

上記のヨーロピアン・ノームのでの表記を踏まえた上で、ナンガオーロラ600dxのカタログを見てみましょう!

ナンガカタログ引用元:ナンガ(PDF注意)

現在、ナンガではオーロラ600DXは販売していないので、オーロラライト600DXの仕様を載せます。

ナンガカタログ表記例

COMFORT:-4℃
LIMIT:-11℃
EXTREME:-30℃

山渓別注のオーロラ600DXの場合

続いて、記事冒頭でも紹介した、山渓別注のオーロラ600DXは…

山渓ナンガ表記例

快適使用温度:-11℃
使用可能限界温度:-30℃

と記載されています。

【結論】山渓別注ナンガの温度表記は信じてはダメ!

気付きましたか?

オーロラとオーロラライトと言う違いはありますが、対応温度は同じです。

にもかかわらず、この表記の違い。

山渓で快適使用温度として表記しているのは、LIMIT温度です。
そして、山渓で使用可能限界温度として表記しているのは、EXTREME温度です。

ここでもう一度、LIMIT温度EXTREME温度の復習です。

LIMIT:下限温度一般的な成人男性が寝袋の中で丸くなり、8時間寝られる温度域とされます(下限温度)。これよりも低い温度は、リスクのある温度域となります。

EXTREME:極限温度一般的な女性がスリーピングバックの中でひざを抱えるくらい丸くなった状態で6時間までなら耐えられる温度域とされます。体は震えを起こすことで熱をつくりだそうとし、基礎代謝量が増えます。なお、この温度域で使用すると低体温症になる恐れがあり、非常に危険です。

と、言うわけで…

山渓で記載されている、「快適使用温度」は信じてはいけません!

山渓での表記を信じて購入し、冬山へ行ったら最悪な結果もあり得ます。

皆さん、気を付けてくださいね!

もちろんオーロラ600dxに限らず、450dxや750dxも同じです。

補足ですが、ナンガがヨーロピアン・ノームでの試験結果を表記し始めたのは2014年以降。2013年までは独自測定の結果を表記していました。快適使用温度:-14℃、使用可能限界温度-30℃と…ほぼ現在のLIMITとEXTREME温度ですね。

【結論!】シュラフ購入に当たっては…

いかがだったでしょうか?

シュラフ選択時の仕様確認の参考になれば幸いです。

各メーカーの表記は統一規格ヨーロピアン・ノームでの試験結果でほぼ統一されています。

ただし、販売店の方では記載方法がバラバラなので注意してください。

と言うわけで、今日の結論は…

その表記がヨーロピアン・ノームの温度なのか確認!(メーカーHPをチェック)
男性でもCOMFORT温度を基準にシュラフを選ぶのをおススメ!
仕様をしっかり確認し間違いのない選択を…

こんなところでしょうか…

もちろん、ご自分の体力や服装、カイロ使用の有無等によって、限界は上下します。そこら辺は経験した上で、把握していかないといけない部分でしょう。

ナンガオーロラとEVAフォームマット

【参考1】私と妻がオーロラ600DXで耐えられる気温

ちなみに私がナンガ オーロラ600DXで普通に眠れるのは0℃前後ですw(それでも足元寒いかも…)。妻は0℃前後でアウターが必要です。

-5℃位になると、アウターや暖パン、ウールの靴下を履いた状態じゃないと熟睡できないですね(;^ω^)

寝床

結構、寒さ耐性ない夫婦なのかも…

こんにちは! 当ブログを訪問してくださる方はご存知だと思いますが、とうとうダウンシュラ...
こんにちは 今日は新しいシュラフを購入した件について書きたいと思います。 我が家の寝...

【参考2】ナンガ、モンベルのEN13537での温度一覧

2017年にまとめたデータです。

現在はカタログ落ちしているものもありますが、参考まで…

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コメント

  1. いたち より:

    こんにちは(・ω・)

    この手の検証&データ解析では、すずパパさんの右に出るブロガーさんはいませんね(*゚ω゚ノノ゙☆

    いたちはすずパパさんの記事で大いに勉強させていただいていますが、それでもシュラフについては
    「記載の気温を信じていいの?」
    「寒がりでも暑がりでも体感は違わないの?」
    「快適温度は寝間着で? アウターまで着込んで?」
    「同じ気温表記ならメーカーが違っても快適度は同じ?」
    などなど「????(´・ω・`)」ばかりです(笑
    第一、例にある「使用限界温度-30℃」とか言葉のままを信じれば、快適ではないけど頑張れば真冬のウラジオストックでも眠れることになりますしね(*>艸<)

    • すずパパ より:

      いたちさん♪

      こんばんは~

      >この手の検証&データ解析では、すずパパさんの右に出るブロガーさんはいませんね(*゚ω゚ノノ゙☆

      ありがとーございます!
      昔から買えない家電やPC等のデータや仕様見て妄想するのが好きだったので…www

      >などなど「????(´・ω・`)」ばかりです(笑

      そうなんですよね!やっぱり記載の気温は参考に自分の体質や着こみ具合で工夫の余地は必要ですよね。
      私の経験的には、記載の快適温度(コンフォート)+5℃位なら、暖パンやアウターなしでいける範囲と思っています。
      ナンガの600なら、いろいろ着込んで快適温度(コンフォート)の-4℃で眠れる感じでしょうか…。LIMITの-11℃はどうあがいても無理そうです。

      いたちさんもご自分の目安を見つけてくださいな(^▽^)/